『COCOpan』が21類調理用品分野での商標として認められました。
あくまで商標に関する部分だけですが、同じ調理器具分類の中で「COCOpan」を護ることが可能となりました。
確かに少し時間は掛かりました。
足掛け2年。
以前在籍していた東証一部通信販売会社でも、カタログ制作、CM制作を含む販売促進業務の中に「知財戦略」があり、
image(イマージュ)と言うf1層をターゲットとしたカタログの商標登録で動いていました。
ただその時は全て専門業者に任せきり。
中々imageでは獲得できず、『image collection』図形商標として取った覚えがあります。
登録までに掛かった経費は約30万円。
今回は地元の知財戦略アドバイザーとの相談の上、自力での商標登録を目指しました。
担当の方が本当に親切な方で、色々と相談に乗っていただき、少し時間は掛かったものの、業者依頼の約3割で獲得する事ができました。
今更、ですが…
株式会社ここ、代表の平井清博と申します。
ここでは主に『COCO案内人』としてコメントしています。
今、世の中には「戒厳令」が出ており、大規模自粛要請の中、何か後に残ることがしたいと考えて
COCOpan誕生秘話を明かすことにしました。
少し長文になります。
もし読んでいただけるなら、少し時間をいただきますようお願いいたします。
冒頭の大手通信販売会社では所謂、販促(販売促進部門)に居て、商品作りには正直関わったことがありませんでした。
21年間もの長きに渡り、その会社で観て来たものはたくさんあります。
BOSSは叩き上げの商売人で、俺の最初の師でした。
怖い人だったけど情けのある人でしたよ。
商売の感は凄まじく、公認会計士の大作資料を電卓も使わずに「これ、間違ごうてない?」と指摘をする人で、その指摘は100%合っていた。
そんな人でした。
今もそうかも知れないけれど、通信販売の商品作りにはモノづくりから価格決定のプロセスが圧倒的に逆なんです。
通常は先ず原価があり、様々な経費と妥当性のある利益を乗せて上代(売値)とします。
但しその頃の(今もかな…)大手通信販売会社の商品作りは、販売価格(売りたい価格、売れる価格、対抗勢力に釣り合う価格)が先ずあって、
その価格から各種経費をマイナスし、最終的に残った額が要するに『原価』。
分かりやすく言えば、このワンピースを4,900円で売りたい。
なら、素材はココまで。縫製はココまで。納期を優先するなら生産国はココで。…と言う具合に。
要するにこれでは「価値のある良いモノ」が作れるわけがありませんよね。
我々の中の言葉にしないテーマは「ワンシーズン乗り切れる商品作り」でしかありませんでした。
モノづくりの主力は韓国から中国に人件費高騰に追い立てられるように、アセアンに移って行きました。
その時の経験があり、もし俺が通信販売会社を起こすとしたら、全部いままでの逆をやりたいと考えました。
ターゲット、商品、販売手法…全部逆とはどういうことか。
これまでがf1層(20から34歳の女性)をターゲットとしたランジェリーファンデーション、アウター、雑貨のカタログだったから、
そうだ!ターゲットはどちらかと言えば「オヤジ」で良くないか?
出来れば一生モノをやりたい。通販である以上、ワンオフ(一点モノ)とは言えないけれど、それに限りなく近い製造方法を誇れるヤツがいいなぁ。
最初に始めたこと。
そう、料理が作れるオヤジを増やしたい。
これらはまだ販売する商品も何も決まっていない中で始めてしまった、オヤジたちだけの料理教室の写真です。
料理教室の名称は『俺たちの料理』。
オヤジ達は本当にマジメです。
講師の先生が指示した通りのことを、一生懸命にやろうとしてくれました。
包丁も握ったことの無い方もいらっしゃいます。
手を切らないか、幼い子供たちを観るような目で始めた料理教室は約2年間の間、毎月することとなりました。
その結果、オヤジ集団はメキメキ実力をつけ、魚をさばけるようになって行きます。
そんな中、ある人がこんなことを俺に恥ずかしそうに言いました。
「平井さん、今日習った料理をね、俺家族に食べさせたいんだよ。でも家の台所って言うのもなぁ、今更でしょ?なんかね。
週末に家族でキャンプ行くんだよ。その時に嫁さんや子供たちに食べさせたいんだ。持って行きたいんだけど、このフライパンは持ち手が取れるように
ならんもんかね」。
そうかぁ、非日常の空間でもあるアウトドアフィールド。
ソトメシは家の中で食べるより美味しさは5割増し。
これ、良いかも。
その日集まったオヤジ達は約10人くらいだった。
俺は彼らに聞いてみた。
「〇〇さんから、こんな話があるんですよ。アウトドアに興味ある人はいらっしゃいますか?」
そしたらね、その場のほとんどが手を挙げた。
リバーライト社岡山晄生社長のこと。
俺が『人生の師』といつも勝手に思わせていただいている株式会社リバーライト社、岡山晄生(おかやまあきお)社長。
あまり多くは書けませんが、日本を一世風靡した伝説のブランド『VAN』(石津謙介デザイナー)との関係も深いお一人です。
VANジャケットはブランドを大切にし、本当に大切に育て、日本中の沢山の人から愛されたメーカーでした。
料理教室で持ち手を外すことの優位性と、
我々「株式会社ここ」の唯一無二としてのオリジナルブランドになれば良いなぁと直感した俺は
その日の内に、千葉県白井市の株式会社リバーライト社を訪問しました。
料理教室の道具として、我々は既にリバーライト社の※窒化鉄フライパン『極ROOTS』を使わせていただいていた。
ある人のご紹介で岡山社長とは料理教室を始める前に、一度山林の蕎麦屋さんで会ったことがあった。
早速俺は岡山社長に、料理教室のこと、やっと巡り合えた気がした鉄のフライパン、その商品から持ち手を外す話、と矢継ぎ早に話をしました。
岡山社長はずっと何も言わずに俺の話を聞き、しばらく沈黙された。
「最近流行っているのかね?、フライパンから持ち手を外すこと。T〇ァールさんとか聞いたことはあるよ。
フライパンに持ち手があるのはもっともなこと、外す意味が分からなかったし、うちにも何度か同様の話は持ち込まれた。
けれど全部断ってきた。私には意味が分からなかったからね。」(そうだよな…やっぱりいきなり来てこの話は筋も通さず無謀だったかな)
「ただ、あなたはそれにどんな意味があるのかを話してくれた。そのシチュエーションや料理教室に参加してる人がどんな気持ちになって料理を作り、
それを家族に食べさせたいと考えたか、表情まで含めてね。」
「その意味が初めて分かったし、そういう提案もあるのかと改めて思ったよ。平井さんの話に共感するし、面白そうだから作ってあげるよ。」
「ただ、うちにもOEM供給は初めてになる。うちは作るけど、売るのはあなただよ。」
リバーライト社の窒化鉄フライパンには勿論ブランド名がある。
「極ROOTS」と当時は言ってた。
今では名称を「極Japan」と変更し、日本で一番売れる鉄フライパンとなっています。
岡山社長から俺にプレゼントしてくれたものがあります。
それはCOCOpanのブランド名。
正式には『極sons COCOpan』と言うのがCOCOpanの正式名称です。
sonsの意味。
「極(キワメ)」を共有する兄弟ブランドであることと、末っ子と言う意味。
何をしでかすか分からない末っ子だと後で聞きました。
こうやって、極sons COCOpanは生まれました。
その頃から岡山晄生社長は俺にとってビジネスだけではなく、生きる意味での『師』とさせていただいています。
この方の話すこと、行ったところ、その全てを俺は無意識にトレースしています。
自ら行って失敗を重ねるなら、残りの人生を少しでも無駄にはしたくないと考え、岡山社長とビジネスの話は元より
日常的な話の時も傍らにメモを置き、書き留めてその場所を出来る限りトレースしようと思っています。
俺にとってこの方は本当になくてはならない人です。
COCO案内人